365のお題

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  071 勝つ!  

 新しく妹になった少女は、何もかもが完璧だった。
 高くもなく低くもない、ちょうどよい身長。
 よくある金色の髪だけれど、碌な手入れをしていないというのに、さらさら艶々で、日が当たると、本物の黄金のように光輝いているようにも見える。
 手足はほっそりと長く、空色の瞳はいつも楽しそうで、ふっくらとした唇は、紅を塗っていないのに、赤く柔らかそうだ。
 口を開いて言葉を紡げば、皆がその美しい声にうっとりするし、微笑みは皆を魅了する。
 お嬢様育ちであるはずなのに、料理も裁縫もそつなくこなす。
 気配りだって出来るし、人を不快にさせるような発言もしない。
「どこをどう考えも、負けている……」
 がっくりと項垂れた私は、目の前にある鏡をたたき割りたくなった。
 鏡の中にあるのは、平凡そのものの私の顔。
 灰色の髪はくすんで見え、大きいだけがとりえの目は、同じ灰色だ。
 背は低いし、来ている服も似合っていない。
 せめて、お祖母様のように銀髪だったらよかったのに。灰色の髪も瞳も、この国ではめずらしくはないけれど、地味な印象はどうしてもぬぐえない。
 それに、赤はないよね、赤は。
 私は先ほど目にした、鏡の中の赤いドレスを着た自分を思い出し、今度は頭をかきむしりたくなった。
 舞踏会へ着ていくようにと養父から渡されたそれは、どう考えても似合わない。
 妹が渡されたのは青色のドレスだったが、彼女にこそこの赤は似合うのではないかと思う。
 姉のドレスは淡い桃色で、可愛いという形容がぴったりな彼女はそれを着ると、妖精のようだった。
 それなのに、私だけどうしてこんな似合わない色?
 確か、ドレスの採寸の時には、もう少し地味な色合いの生地を選んだはずだよね。
 養父は、それほど変な色彩感覚の持ち主ではない。普段ならば、こんな色の服を勧めたりしないのに、いったいどういうつもりなのか。
 引きつったまま問い詰めてみれば、『普段暗い色のドレスばかりだから、たまにはと思ったんだ』と情けない顔で謝り倒されたので、文句が言えなくなってしまった。
 さすがに父も、ドレスを着た私を見れば、赤はないなと思ったのだろう。
 出来ればその布を手にした時点でそう考えて欲しかったけれど。
 しかし、養父の悲しそうな顔を見れば、こんな服いらない!などと口には出来ない。
 着ていかないという選択肢もあるけれど、そうなると、去年仕立てたドレスしかないわけで。それは、少しきつくなった胸回りのせいで、仕立て直さないといけないし、王室主催の舞踏会で、流行遅れの去年何度か着た服を着るというのは、貴族令嬢としてはありえない。
 私だけそういうドレスを着ていけば、何かと噂になるだろうし。
 養父が私をないがしろにしているとかね。
 そんな評判が立つのは、さすがに避けたい。少し人よりずれているところがあっても、養父が義理の娘である私と姉を大事にしてくれているのは間違いないのだから。
 でも、赤なんだよね。
「やっぱり、出席はやめようかな」
 鏡台の上に無造作に投げ出された招待状を眺め、ため息をついた。
 爵位のある家の独身あるいは婚約者のいない令嬢全てに送られた招待状は、王子の花嫁捜しの目的があるという。
 どうせ、選ばれる令嬢は決まっているが、これは王家の恒例行事のようなものだ。むかし、美しく聡明な娘を舞踏会で見初めた王子の伝説になぞらえられて行われるもので、国中の未婚の令嬢が参加する。
だが、令嬢の目的は、もちろん王子の嫁になることではない。
未婚の婚約者のいない令嬢たちは、この舞踏会で恋人を見つけようとするのだ。
 そんな舞踏会を休むことは、普通ありえない。
 任意の出席になっているけれど、よほどの事態でなければ、ほぼ全ての令嬢は参加するのだ。私だって、舞踏会は嫌いじゃない。料理はおいしいし、ダンスは楽しいし、煌びやかな人々に囲まれていれば、自分も貴族令嬢の端くれだと実感できる。
 それに、それにだ。
 独身令嬢を目当てに、多くの独身男性も参加するのだ。
 妹や姉、従姉妹の付き添いとして、滅多に舞踏会に参加しない騎士や武官もこのときばかりは、新たな出会いを求めてやってくる。その多くは、上位の貴族ではなく、跡継ぎ以外の、騎士や武官としてはそこそこの身分がある人たちだ。
 彼らは、跡継ぎでない分、恋愛に関しても、ある程度の自由があった。
 要するにお買い得な男性達が選り取り見取りなのである。
 いろんな人がいるから、中には私のような地味な女性でもいいという人間がいるかもしれない。出会いの場が少ない貴族令嬢としては、是非参加したいのである。
 なにしろ、私は地味なだけでなく、姉のように婿をとって爵位を継ぐという特典もついてないし、義妹のように連れてあるくだけで羨ましがられそうな容姿と性格も持っていない。
 一度捕まえたら一生離さないくらいの意気込みで、現在婿募集中なのだ。
 結局。
 散々悩んだあげく、舞踏会には出席することにした。あの、赤い似合わないドレスを身にまとって。


 結い上げた髪には、すこしでも華やかに見えるように、ドレスに合わせた赤い髪飾りをつけた。
 化粧もがんばったおかげで、赤いドレスは『まったく似合わない』から、ちょっと似合わない程度に昇格している。顔の方も、普通顔から、少しは見れる顔になっているはずだ。
 もっとも、妖精のような姉と清楚な美女である義妹の前では、目立たないどころか引き立て役にもなっていなかった。
 まあ、そのあたりは想定済みなので気にしない。
 姉達の方が極端なのだ。
 普通のご令嬢達のほとんどは、よくある普通の顔である。化粧と日ごろの努力で頑張っているから綺麗に見える。もちろん、私だって、努力はしているよ。肌の手入れも欠かさないし、髪に艶出しの香油を塗ることも忘れない。ただ、その努力があまり報われていないだけ。
 で、会場には、私達と同じように着飾り、どこか落ちつかない様子の令嬢達であふれていた。
 その気持ちはわかるよ。
 私達は、王室主催の舞踏会に頻繁にでられるわけではない。支度にかかるお金の問題もあるし、普段は自身の親が治める領地にいるから、そんなに簡単に王都まで出られないという理由もある。辺境の地に住む者ほど、出会いは少なく、いつのまにか親の決めた見たこともない相手と結婚なんてことも良くある話だ。
 もちろん、出会いがあっても、あまりにも身分が違いすぎれば親も反対する。
 騎士ならともかく、ただの武官ではいい顔をしない親戚もいないわけではない。
 それでも、少しでも印象のよい相手と結婚したいのは、若い娘ならば誰でも思うこと。
 私だって、そうだ。
 気合いを入れ直し、なるべく上品に見えるように辺りを見回し、今回の舞踏会の主役である王太子の登場を待つ。
 それほど待つことなく、王太子、その弟王子達、最後に国王夫妻が大広間に表れ、国王が舞踏会の開始を宣言すると、周りの雰囲気が緩んだ。
 皆、すでに周りにいる異性をそれとなく窺っている。
 王太子殿下はといえば、国王に促され並ぶ令嬢たちをゆっくりと眺め、それから優雅な足取りで、一人の前に立った。
 皆に聞こえるような声で、着飾った令嬢にダンスを申し込む。
 もちろん、予定通りの行動だ。
 この場にいる誰もが、その令嬢が選ばれることはわかっていたし、それがダンスの始まりの合図でもあったのだから。
 王太子殿下と令嬢のダンスが終わると、後は私達の番だ。
 相手が決まっているものは、もう踊り出しているし、そうでない人たちも、目当ての相手を選んで動きはじめていた。
 お姉様も、義妹も、気がつけばダンスを申し込まれていて、私一人、取り残されている。
 慌てて辺りを見回せば、すぐに二人は見つかった。目立つからね。
 お姉様は、見目麗しい騎士様と一緒だ。
 義妹は、精悍な顔をした子爵さまと踊っている。
 一人ぼっちなのは、私だけ。
 今までの経験からして、当然のことだけれど、やっぱり悲しい。
 義理でもお情けでもいいから、声をかける男はいないのか。
 彷徨う視線の先には、誰もいない。
 どうやら、私にダンスを申し込んでくれるような人は現れないようだ。
 さすがにこちらから一人でいる男性に近寄るなんてはしたないし、この格好で声かけるなんてどれだけ自信あるんだよと思われても嫌なので、私は壁際に突っ立ったまま、これからのことを考えていた。
 このまま、ここに立っているのも恥ずかしい。
 誰にも誘ってもらえないままでいるのは、案外目立つのだ。皆、見ていないようで、そのあたりはしっかりと確認している。後日、ご令嬢たちの噂になるのだけは、絶対に避けたい。
 誰か、いないだろうか。
 私は、ぐるりと再び広間を見回す。
 その時、見つけてしまったのだ。同じように自分に似合わない服を着て、壁際に立つす青年を。
 そして、私と青年の視線が交わった。


「エエト、ソノ。オ一人ナノデスカ?」
 訛りが強く、自信がなさそうな声は聞き取りにくかったけれど、恐らくそう言ったのだろう――と私は推測する。
 この舞踏会には、他の国の貴族が招かれることはないから、国内の人間で間違いないだろう。
 元々、小さな国が寄り集まってひとつに纏まって出来た国だ。
 その名残で、公用語として使われる言葉の他に、地方独特の言葉もある。
 戦によって併合された国もあるから、分からない言葉は案外多い。
 彼もそうなのだろう。王都から遠い地では、公用語が話せないというものもいる。ただ、貴族の場合、それだと苦労するので、ほとんどの者が子供の頃からそれなりに教えられているけれど。
「はい。残念ながら」
 相手がどんな身分なのか、どこ出身なのかわからないため、私は一人であるということに対する肯定の返事だけを返した。
 こちらに声をかけた意図もわからないし。
 ダンスの申し込みだったら嬉しいが、それならば名前と身分を名乗り、作法に則って言葉をかけるはずである。
「コウイウ所ハ、初メテナノデ、勝手ガワカラズ、戸惑ッテオリマス。先ホドモ、ゴ令嬢ニ声ヲカケヨウトシタノデスガ、ウマクイカズ……エエト」
 情けなさそうに眉を下げ、必死で言葉を紡ぐものだから、口を挟むこともできなくなってしまった。
 集中しないと訛りの多いせいで聞き取りにくくなるっていうのもあったし。
「ソウダ、『田舎者』ト言ワレマシタ。意味ハワカラナカッタノデスガ、イイ言葉デハナイノデショウネ」
 苦笑する青年の顔は、普通である。
 人がよさそう、という印象を与える以外に、特徴はない。
 着ている服は、最近王都で流行っているもので、引き締まった体型に見えるという理由で貴族男性に愛用者が多い。
 しかし、青年には似合っていなかった。
 太っているとか、痩せすぎているとか、そういう理由ではない。
 まず色が合わない。
 青年は淡い金色の髪に青い瞳をしているから、着ている服が青いのはおかしくない。……はずなのだが、微妙に違和感がある。鮮やかな色が、青年の普通顔よりも目立っているのだ。完全に顔の方が負けている。
 服の寸法も、青年の体に対して大きい気がした。
 どこからか借りてきたか、採寸が間に合わず店で売っている既製の物を購入し手直ししなかったか。そんな風に見えてしまうのだ。
 田舎者と言われたのもそのせいかもしれない。
 この舞踏会では、皆気合いが入っている。
 自分に似合わない服を着てくる人間の方が少ないのだ。
「アナタハ、オ優シイデスネ。強引ニ話シカケタ私ヲ、拒否サレナイ」
 にこにこと、それこそ笑顔全開で青年は言う。
 それ、申し訳ないけど、親切心じゃないから。
 似たような匂いを貴方に感じているだけだから。もちろん、そう思っていることは表面には出さず、私も笑顔を浮かべる。
「あなたこそ、お優しいですわ。私に声をかけてくださったのですもの」
 どこからどう見ても、相手にあぶれている様子だったからね。
 ひょっとすると、青年も、私に同族の匂いを感じたのかもしれない。
 こうやって二人で話をしていれば、あぶれているとは思われないはずだし。
「アア、ソウイエバ、マダ名前モ名乗ッテイマセンデシタネ。気ヲ付ケルヨウニ、言ワレテイタノニ」
 困ったように笑うと、青年は頭をかいた。
「私ハ、『フォルクハルト・イルムシャー』ト申シマス。『クーニッツ領』……トイッテモ、ゴ存知ナイカモシレマセンネ。南ニアル小サナ島ナノデスガ、ソコヲ治メル領主ノ息子デス」
 正直、聞いたことがなかった。
 この国は海に面している。そこにいくつか島があって、重要な貿易の拠点などもあるから、領地の名や、治める領主の名前は知っているはずなのだけれど。
「何モナイ、本当ニ小サナ島デスカラ」
 顔には出さないようにはしていたが、戸惑った雰囲気には気付かれたかもしれない。
「私は、クロエ・アベラール、アベラール男爵家の者ですわ」
 気まずさをごまかすように名前を名乗る。本当は、もっときちんと名乗るべきなのだが、この人にそこまで丁寧にするのも、返って悪い気がした。
「アベラール男爵……アア、知ッテイマス。私ヲココヘ連レテキタ従兄ガ、美シイ姉妹ガイルト、教エテクレマシタ。独身貴族ノ間デハ、トテモ噂ニナッテイマス」
「姉も義妹も、噂に恥じない容姿ですもの。よろしければ、紹介しますわ」
 そんなに評判になっているんだと、驚くと同時に自分が褒められているわけではないのに、ちょっと誇らしくなった。
 姉も義妹も、私と同じで領地からほとんど出ないから、容姿に関しては噂のみが一人歩きしている状況だ。けれど、二人とも、ちゃんと嘘偽りない美人姉妹。どうだ、すごいだろうと私の方が自慢したくなる。
「先ホド、拝見シマシタガ、確カニ、トテモ美シイ女性デシタ。タダ……」
 青年は、迷うように言葉を切った。
「私ナド、相手ニサレナイヨウナ気ガシマス」
 こちらを窺うように細められた目は、本当に自信なさげに見えた。
「ソノ、私ハ、ソレホド女性ニ好マレル顔デハ、アリマセンノデ」
「……その気持ち、わかりますわ」
 つい本音が口から出てしまった。相手は驚いたように目を見開き、そして笑った。
「……アナタハ、十分魅力的デスヨ」
 そうは言ったが、『あなたも美しい』という言葉は、お世辞でも口にしなかった。
 代わりに、視線の向きがおかしい。あきらかに、私の顔ではなく、やや開いた胸元を見ている。
 もしもし、視線が下の方に行っていますよー。
 そこまであからさまに見ていたら、好きなのは胸なんじゃないかと思われますよー。
 そう思ったけれど、もちろん口には出さなかった。
「女性ハ、顔デハアリマセン」
 そうですか、でも視線が胸のあたりだと、違う意味で怪しい。
 確かに私の胸は、人より大きい。身長が低いせいで、妙に目立つ。時々、ぶしつけな眼差しで男性から見られることがあるから、普段は首元まで詰まっている服を着ているのだけれど、今は舞踏会用に作ったドレスだしね。
「私ガ生マレタ島デハ、顔ヨリモ、別ノトコロガ重視サレマスシ、私モデキレバ……」
 そこでようやく彼は私から目を反らした。
 そ、それは、ひょっとして……胸!?
 けれど、私はその言葉を飲み込んだ。
 口にしたら、なんだか、負けた気がする。
「アナタヲ見タ時、トテモ心惹カレマシタ。理想的ナ姿デス。ダカラ、一人ナノヲ確認シテ、声ヲカケタノデスヨ」
 何、その余裕のある笑顔は。さっきまでの、人の良さそうな、優しそうな、情けなさそうな青年はどこに行ったのー!
「イキナリ結婚ヲゼンテイニ、トイウノハ難シイデショウカラ。モシヨケレバ、ヨクアル物語ノヨウニ、マズハ友達カラ始メテミマセンカ」
 そんな物語、私は一度だって読んだことないよ。
 大抵、恋物語は唐突に始まったするんじゃないの。登場人物は大抵、普通だって言いながら、身分があったり美男美女だったりするからね。
 普通な人たちは、そんな波瀾万丈な恋愛、滅多にしない。
「普通ナ私タチニハ、似合イダト思イマスヨ」
 私の気持ちを正確に読み取って、彼はにっこりと笑った。
「波瀾万丈ナダケガ、恋愛デハアリマセンカラネ。ソレニ、アナタモ、ココニ結婚相手ヲ探シニ来タノデショウ。私モソウデス。最初、上手クハイキマセンデシタガ」
 ああ、だめだ。
 反論する言葉が見つからない。だって、事実だもの。私も、あわよくば誰かいい人に巡り合えないだろうかと考えていた。
 失敗した。さっさと会話を切り上げてこの場から去るのがよかったのだ。
 一人が惨めだからって、見知らぬ青年と話なんてしてはいけなかったのだ。常々、お姉様にも言われていたのに。
『あなたは流されやすいのだから、気を付けてね』とか、『よくわからない理由で近づいてきた男には要注意よ』と口うるさく言われていたのに。
「顔モ、性格モ、妥協デキマスガ、ヤハリ胸ダケハ……」
 あ、また私の胸のあたりを見ている。
 私は咄嗟に両手で胸を隠した。
 減るような気がするし!
 けれど、青年は楽しそうに笑っている。
「気長ニイキマショウ。時間ハ、タクサンアリソウデス。ソレニ、オ互イ、モウ少シ明ルイ場所デ会ッテミマセンカ」
 こんな服はどうも窮屈で、と彼は言う。
 そうですねとうっかり返事をしそうになって、慌てて曖昧に微笑む。
 このまま会話を続けていくと、どう考えても彼に丸め込まれてしまいそうな気がする。
 だめだめ、しっかりしないと。流されるように勢いでおつきあいする相手を選ぶと碌なことにならないって、友人達も言っていたもの。
 私だって――私だって、ただ笑っているだけの貴族令嬢じゃない。そんなに簡単に、ほいほいと恋に落ちたりしない。
 私のむなしい言葉は、もちろん心の中だけに留めておいた。
 そんな日が来るかどうか、本当のところわからないけれど、私は負けない。
 絶対に、負けない。
 妥協できない点が、無駄に大きい胸だけなんて、納得できないし!
 性格や顔だって、普通好きになって欲しいでしょう。好きなのは胸だけなんて、冗談じゃない。
 お互いに好きになるかどうか。
 もう少し付き合ってみなければわからない。
 もちろん恋は勝ち負けではないから、勝負などする必要などはないのだけれど――やっぱり、やるならとことん本気でいきたいもの。
「そうですわね。まずはお互いに知り合うことからはじめましょう」
 新たな誓いを胸に、私は心の中で拳を振り上げたのだった。

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