桜並木を二人で歩く。
空には、丸くて大きなお月様。
月に照らされて、長く伸びる私の影と、あなたの影。
そして、満開の桜の木。
誰もいないから、二人で歩いている。
あなたと私と、今この瞬間には、二人だけ。
人の姿の私と。
人でない姿のあなたと。
手をつなぐことは出来ないけれど。
並んで歩くことしか出来ないけれど。
でも、私は幸せだ。
あなたといるから幸せなんだって、わかってる。
ぐるりと町内を1周して、私たちの花見は終了した。
来年もまた、こうやって二人で歩ければいいね。
私の言葉に、人に戻った彼は笑って頭をくしゃくしゃとかき回した。
来年じゃなくて、明日もう一度花見をしよう。
今度は明るい日の光の下で、お弁当を持って出かけよう。
あなたの言葉に、私は笑って頷いた。